面白い商品を置く店がある。なぜか、通ってしまうショップがある。何か特定のものを買うためでなく、好きだから、行く。
あなたにも見ると思わず寄ってしまう店は、きっとあるだろう。その店作りを支えているのはバイヤー。買い付けを職業とする人々である。
バイヤーとは、「商品の買い付け担当」のこと。数ある商品の中から適切なものを選び、店舗に置く。言葉で書くと非常にシンプルだ。しかしながら、バイイング(買い付け)には間違いなく個性が出る。これは一つとして同じ店がないことでも明らかだ。
今月1日発売のEYESCREAM新刊はバイヤーの個性を「LIFE=人生」と定義付け、特集を組んでいる。そこで語られる有名バイヤーのインタビューをピックアップしてまとめてみた。
バイイングは人生だ。その人の生き方が宿る。
何か面白いものないかな、と思ってビームスに行く。目的もなしにふらっとよってみると、必ず新たな発見がある。いつも新たな発見を提供してくれるビームスでバイヤーとして活躍している人物がいる。戸田慎氏だ。10年以上のキャリアをもつ、彼のインタビューをまとめてみた。
ビームスといえば全国100店舗以上を数える人気セレクトショップ。
例えば埼玉の大宮店にはガチャガチャ、ベアブリックなどもおいてあったりする。単なる服屋とはいえない。各店舗には強烈な個性があり、その個性を生み出しているのは間違いなくバイヤーだ。戸田氏ももちろんその一人である。
面白いのは、上記の「バイヤーとは何か」の部分だ。彼がいうにはバイヤーは目利きである上に表現者でなければならないという。これがバイヤーを「ただの買い付け人」で終わらせないひとことだと思う。
「デザイナーさんの思いを聞き取れるのは僕らバイヤーだけなので、それをちゃんと表現できるのかも大きな要素だと思います」というように、戸田氏はバイヤーをデザイナーのコンセプトを体現する表現者だという。モノを店に置けば売れる、そんな時代ではない。コンセプトをうまく表現できなければ、たとえいい商品でも売れない。だから、デザイナーの思いを汲み取ろう。それができるのはバイヤーだけなのだ。
異端、通好み。そんな言葉で表現されるネペンテス。偉大なデザイナーを排出するショップとして、その地位を確立させている。
片庭氏はバイヤーという職業をどう語るのか。
エンジニアードガーメンツの鈴木大器氏など、有名デザイナーを輩出したショップとして有名なネペンテス。バイヤーの片庭氏はミックスさせる感覚を熱っぽく語っている。バイイングの特徴は何かとの問いには、「まぜ方」にあると答える。その例えとして挙げるのは、G-SHOCKとLADOを両方共良しとする感覚、というものだった。
「いつも面白いものがあるね」って言われたりもするんですけど、そんな全部おもしろいものばかりやっていないとは思います。普通の白いシャツも売っているし。でもイギリスのシャツがあって、日本のシャツがあって、いろんなものを混ぜる混ぜ方が独特なのかなって。
商品の輝き方は、並べ方によってイキイキしたり、恐ろしく鈍くなったりする。活かすも殺すも、すべて「混ぜ方」にある。
NONE-DAILY LIFE IN THE DAILY LIFE.住空間を提供するバイヤー、南貴之氏。彼は自身のショップ「1LDK」について、バイイングについて、何を語るのだろうか。
バイヤーというよりも、プロデューサーとしての
買い方、選び方というよりも、「どう売るか」に焦点を当てて語っている。
やりたいことは、住空間をプロデュースすること。1LDKという名前も、ショップのコンセプトも、将来の夢もすべて住空間を提供する、ということにつながっている。ミックスさせる感覚、総合的に商品をプロデュースする力、というところにも繋がるのかもしれない。
南氏は店作りについて、“名店の仕掛け人”が語るショップ作りの本質』〜 1LDK ディレクター 南貴之 インタビュー 〜ではこう答えている。
まぁ簡単な話なんですが、まずは第一に「自分がそこに行きたいか、行きたくないか」ですよね。第二に「そこで買い物したいか、したくないか」。あとは第三として「人に勧められるかどうか」。そういう当たり前のことしかやってないような気がしますけどね。
ただ、それが毎回世の中の流れと逆行してるみたいで、大反対にあうんですけど。
この点では、まさに我が道を進む、といったセレクトをしているのだろう。バイイングとは、個人の生き方が表れるというが、これもまた南氏の生き方がにじみ出ているということだ。
紙面では南氏がバイイングしたLEON FLAMのヘルメットバッグという商品を紹介している。これがまた、かっこいい!
紹介されていた、ぜひ行きたいショップをご紹介。
代官山・JOURNEY
「昭和家屋の保存に一役買ったショップ」とHPにある通り、レトロな内観が特徴だ。
代表の垂水ゲン氏が古民家を譲りうけ、それを保全して運用しているというなんとも変わったショップ。世界各国の名品を五感で味わえる、というコンセプトは言ってみたくなる。
どんな雑貨があるかも見てみたい。
———————————————————————-
EYESCREAM 2013年11月号
特集 BUYER’S LIFE「バイヤーがファッションを面白くする」
小木”POGGY”基史「UNITED ARROWS」
戸田慎「BEAMS」
片庭秀幸「NEPENTHES」
栗原潤「JOURNAL STANDARD」
南貴之「1LDK」
最旬 東京ライフスタイルショップ・ガイド30選
EYESCREAMのバイヤー特集、興味深くレビューさせてもらいました。
哲学ですね。もっと掘り下げたら面白いなあと思います。
特に南氏の「良いとおもったら置く、ダメと思ったら置かない」という姿勢にその人の生き方を感じます。なぜなら、そこにはマーケティングも市場調査も何もないからです。自分のセンス。ただそれだけ。それが光るから、お客さんは見に来る。買うつもりがなくても寄ってしまう。
バイイングに共感するということは、すなわちその人の選び方に共感するということ。つまり、人としての軸、生き方に共感することなのだ。
、、、とまとめたところで、せっかくなので当社のチーフバイヤー、新田にもヒアリングをしてみました。
シンプルかつカラフル。その上、機能性を足したものがいいですね。
シリーズものであればなおいいです。
売り場で映えることも考えています。シリーズで並べたとき、どんな輝きを放つか。
これによって、お客様がワクワクしてくれるかどうかが決まると思います。
とのことです。
Leave A Comment