3000円の高級なノート。あなたは買うだろうか。
この質問には多くの人が躊躇してしまいがちだ。ノートに3000円。100円でも買えるのに、なぜ、あえて、そんな高額な料金を払うのか。ところが、その想像を遥かに超えてヒットしているノートがある。ご存知「モレスキン」である。
公式HPにはこう記述がある。
Moleskine®は2世紀の間、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ及びブルース・チャトウィンなどの芸術家や思想家に愛されてきた伝説的ノートブックの相続人であり継承者です。丸い角を持つ黒のシンプルな長方形、ノートを束ねるゴムバンド、そして内側のマチ付きポケット: 無名だけれどもそれだけで完成された品は、小さなフランスの製本業者によって一世紀以上もの間作られ、世界中の革命的芸術家や作家が訪れて購入した、パリの文房具店に納品されていました。旅のお供にぴったりな大きさの頼れる存在。このノートブックは、有名な絵画や人気小説が世に出る前の貴重なスケッチ、走り書き、ストーリーやアイデアを記録してきたのです。(HPより)
このコンセプトは、どんなものでも記録できることである。持ち歩くのに便利な機能が存分に発揮され、いつでもどこでも情報を書きためることができるからだ。しかし、情報を書きためるという行為は紙媒体以外でも可能である。webサービス、PC、スマートフォン。こうしたデジタル機器がある以上、ノートというアナログな媒体の存在感はゆらぐ。果たして、僕らはノートに書き溜める意味があるのだろうか。それも3000円のノートをわざわざ購入して、である。
この疑問に、『モレスキン「伝説のノート」活用術』の知恵を借りて挑んだ。そこでわかったのは、「全てを記憶する」には、モレスキン合わせて3つのノートが必要だということだ。
では、どうすることが、この美しいモレスキンノートを最大活用するポイントなのだろうか。著者・堀正岳氏の知恵を借りて考えてみたいと思う。項目は以下の3つだ。
堀氏はモレスキンの魅力をシンプルにまとめた。以下の4点が「モレスキンが選ばれる理由」だという。
これでうまれるのは、「情報を、いつでもすぐそばに」置いておける状態である。まず、堅牢さは持ち歩くときにその効果を発揮する。頑丈なので旅先にも臆することなく持っていけるし、多少の水濡れも厭わないカバーも魅力だ。そして、ボリュームのおかげで後のページ量を気にして記録を遠慮する心配もない。規格化されたサイズ感で揃えておくのも嬉しい。本屋ににも、特定のサイズがすぐに廃盤になる、デザインが変更になるといったこともないだろう(なぜなら、200年以上と同じノートが現在も流通しているからだ)。さらに、シンプルなのでカスタマイズできるのも大きい。写真などを挟んでおけるゴムバンドも活躍する。
このように、モレスキンの魅力はまとめられる。情報を携帯し、保管し、使いやすくまとめるのに適した機能を網羅しているところだ。だからこそモレスキンは「すべてを記憶する」ノートとしてふさわしいと言える。
前章では、モレスキンは「すべてを記憶する」ノートとしてふさわしい、とまとめた。さて、ここで気になるのは、webサービス「evernote」である。
Evernote を使えば、日々の生活のなかの大小さまざまな事柄をコンピュータ、携帯端末、Web などの各種デバイスで簡単に記録しておくことができる。しかも、クラウドサービスなのでPCで作成したノートをスマートフォンで見ることも可能だ。コンセプトも「すべてを記憶する」とうたうevernote。このサービスとモレスキンを比較した時、使うべきはどちらなのか。両者は競合するのだろうか。
結論としては、「すべてを記憶する」という方針を突き詰めるほど両者は競合しないと考える。
「両方使い」がベストであるという考えを根拠とするからだ。
モレスキンの魅力は「記録の瞬発力」
evernoteの魅力は「記録の持続力」
モレスキンは紙媒体である。そして、この強みは「一瞬のうちに浮かんだデザインや考え、日々の記憶や思い出、ちょっとしたイラストやダイヤグラムなど」を書き込むときに発揮される。こうしたアイディアは、突発的に頭のなかに表れる。落書きのような絵かもしれないし、数字のまとまりかもしれない。ところが、そうしたアイディアの破片が後々役に立つことは言うまでもない。こうした「デジタルツールにならない創造性の高い領域」は、evernoteに記憶することは難しい。ここにモレスキンノートを使う理由が生まれる。
つまり、モレスキンの魅力は、「記録の瞬発力」である。「忘れるよりも早く記憶する」、これが紙媒体のアドバンテージだ。さらに言えば、それをより実現しやすくさせるのは、モレスキンの4つの魅力(堅牢さ、ボリューム、規格化、DIY)なのである。
一方で、evernoteは記録を長期的に保存した上での運用に非常に長けている。例えば検索機能。これは長期保存したノートの中からほしい情報を、検索機能で探し出して読むことができるのだ。これならどれだけ多くのノートを書いたとしてもほしい情報を探すのに戸惑うことはない。さらに画像やExcelデータなどを一緒にまとめておくこともできる。データだから劣化もしない。サービスが終了しない限り、永久にフレッシュな状態で情報を保持することが可能だ。
(もちろん、保存データの容量にもよる)
つまり、evernoteは「記録の持続力」が長所だといえる。立ち上げの時間や定形データしか記録できないという点もあるが、一度記録できれば時間・場所・デバイスを隔てても自在に操ることができる。
ここでわかるのは、両者は一長一短だという点。ならば、この2つを組み合わせて使うことが最良ではないだろうか。堀氏も作中で組み合わせて使うことをすすめている。
ただし、組み合わせるべきはこの2つでは最高とは言えない。
実は、組み合わせるべきノートは3種類ある。
以上の3つを組み合わせることで、記録に対するパフォーマンスは最高になる。
手書きの場合はモレスキンを使うべきだが、現在ではevernoteと連携するためのモレスキンも発売している。それがEvernote スマートノートブック by Moleskineだ。これは、ノートに書いた情報をスマートフォンでキャプチャすれば、evernoteで管理できるという便利なグッズである。付属のスマートステッカーでevernoteのタグ付けが可能なので、よりデジタルと情報を融合させやすくなるのだ。
すべてを記憶するためにはこのスマートノートブックを使うべきだと思う。
使っていると、どうでも良いメモ書き・走り書きをモレスキンに書き込むことは躊躇してしまうかもしれない。ならば、切り離して使えるメモを併用してみよう。本書の中で奨励しているのはロディアだ。
走り書きの場合はこれを使い、モレスキンのゴムに挟んでおく。必要であった時にのりづけすればいいのだ。
そして、最終的にevernoteに取り込んで保管する。必要な時は検索して使う。これが「すべてを記録する」ことに特化したノートの使い方ではないだろうか。
見てみると、本当に多いです。モレスキンノートの愛用者。
これがある限り、紙のノートは終わらない、という気がします。
あの堅いハードカバーは本当に触り心地が良くて。
憧れますね。
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